グリーフケアの声かけ:遺族に言っていい言葉・つらい言葉を、看護師で遺族の私がまとめました
「なんて声をかけたらいいのか、分からない」
身近な人が大切な家族を亡くしたとき、そう戸惑って、結局うまく言葉が出てこなかった。そんな経験のある方は、多いんじゃないでしょうか。
私は看護師として、化学療法室や緩和ケアの現場で、たくさんのご家族の悲しみのそばにいました。そして15年前、自分の母をがんで見送り、海に散骨した遺族でもあります。
この記事では、その両方の立場から、遺族が救われた声かけと、実はつらかった言葉を、正直にまとめてみますね。
まず大前提:正しい「正解の一言」を探さなくて大丈夫です
声かけで悩む方の多くが、「気の利いた、正しい一言」を探して固まってしまいます。
でも、私自身が遺族になって分かったのは、立派な言葉より、そばにいてくれること・気にかけてくれることのほうが、ずっと届くということでした。
うまく言えなくていいんです。
「なんて言っていいか分からないけど、あなたのことが心配で」と、その戸惑いごと伝えてくれた友人の言葉が、当時の私にはいちばんありがたかったのを覚えています。
遺族が救われやすい、声かけの例
現場で見てきたことと、自分の実感の両方から、届きやすかった言葉をあげてみます。
- 「つらかったね」「大変だったね」と、気持ちにそっと寄り添う言葉
- 「無理しないでね」「あなたのことも心配しているよ」と、遺族自身を気づかう言葉
- 「何かできることがあったら、いつでも言ってね」と、そっと差し出す言葉
- 亡くなった方の思い出を、「○○さん、こんなやさしい人だったよね」と一緒に語ること
意外に思われるかもしれませんが、亡くなった方の話を避けずに、名前を出して思い出を語ってくれることは、多くの遺族にとって救いになります。
「忘れられていない」「あの人がいたことを、覚えていてくれる」と感じられるからです。
実はつらかった、よかれと思った言葉
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
どれも、相手は励まそうとして言ってくれた言葉です。悪気はありません。
それでも、受け取る側の心には、こんなふうに刺さってしまうことがあります。
- 「元気を出して」「早く元気になってね」:まだ悲しんでいたい時期に、悲しみを急かされているように感じてしまう
- 「もう○ヶ月だから」「いつまでも泣いていたら故人が悲しむよ」:悲しみに期限を決められたように感じる
- 「寿命だったんだよ」「大往生だね」:本人にとっては、まだ受け止めきれていない別れのこともある
- 「がんばったね、これで楽になれたね」:ねぎらいのつもりでも、受け取り方によっては切なくなる
- 「私も○○を亡くしたから気持ち分かるよ」と、自分の話にすり替わってしまう
悲しみに「そろそろ」「もう」と時間の区切りをつける言葉は、励ましのつもりでも遺族を追い込みやすいです。
悲しみ方に、正解も順番もありません。ここは、以前書いた記事でもふれています。
「かける言葉が見つからない」ときの、シンプルな関わり方
無理に言葉をひねり出さなくても、気持ちが伝わる関わり方があります。
- そばに座って、ただ話を聴く(アドバイスや解決策は、求められるまで急がなくて大丈夫です)
- 相手が泣いていたら、無理に泣きやませようとせず、そのまま一緒にいる
- 「話したくなったら、いつでも聞くよ」と伝えて、あとは相手のペースに任せる
- 食事を届ける、少し家事を手伝うなど、言葉ではなく行動でそっと支える
看護の現場でも、「聴くこと」そのものが、いちばんのケアになる場面をたくさん見てきました。
沈黙が気まずくても、無理に埋めなくて大丈夫です。黙ってそばにいてくれる人の存在が、言葉以上に支えになることは、本当にあります。
少し時間がたってからの、さりげない一言も大切です
お葬式の直後はたくさんの人が声をかけてくれても、その後、ぱたっと誰も故人の話をしなくなる時期が、遺族にとってはまた別のさびしさになることがあります。
少し時間がたってから、「その後どう過ごしてる?」「○○さんの命日、近いね」とさりげなく気にかけてもらえると、「まだ覚えていてくれる」と感じられて、心がほどけます。
大げさな言葉でなくて大丈夫です。
思い出したときに、そっと一声かける。それだけで、遺族はずいぶん救われるものだなと、自分が経験して思いました。
まとめ:立派な言葉より、「あなたを気にかけている」が届きます
最後に、この記事の要点をまとめますね。
- 正しい一言を探さなくて大丈夫。戸惑いごと伝えるくらいでちょうどいい
- 救われやすいのは「つらかったね」と寄り添う言葉、故人を一緒に思い出す言葉
- 「早く元気に」「もう○ヶ月」など、悲しみに期限をつける言葉は避けたい
- かける言葉が見つからないときは、そばにいて話を聴くだけでいい
- 少し時間がたってからの、さりげない一声も大きな支えになる
大切な人を亡くした方への声かけに、完璧な正解はありません。
それでも、「あなたのことを気にかけているよ」という気持ちが伝われば、それがいちばんのグリーフケアになると、看護師として、そして遺族として感じています。
もし身近に悲しみの中にいる方がいたら、この記事が、その方へそっと歩み寄るヒントになればうれしいです。